看護師ひのもりさん。の北7病棟記録。

看護師のひのもりさん。が、医療のお話をするブログ。ときどき日常のこととかも。

3つの幸福 感想文書きました。

f:id:kamixkakushi:20210418144313j:plainブログ相当久しぶり。生きてます。

樺沢紫苑先生の著書「精神科医が見つけた3つの幸福」を読んで感想文書いたので、こちらに投稿です。

今回もギリギリに書き上げ、夜勤へ出発。なぜいつも夜勤の日が締め切り日なの…(笑)

 

 

3つの幸福 感想文

幸福とは何か、というテーマは大昔からの普遍的なテーマで、たくさんの人たちがたくさんの表現で「幸福とは◯◯だ」と教えてきてくれていました。それがなるほどと思うものもあれば、よくわからないと感じるものもあります。
例えば「幸福とは心が満たされていること」「幸福とは痛みがないこと」「幸福とは戦争がないこと」など…言われてみればそうだなと感じる反面、しっくりこない。そのために何をしたからいいのかも、人によって同じではないでしょう。
私も「幸せとは何か?あなたにとっての幸せとは?」と問いかけられても即答できません。自分のことをまだまだ洞察できていないし、これがしたい!と強く思うものが特にないまま生活しているからです。

 

精神科医が見つけた3つの幸福」では、「幸福とは脳内で主に3つの幸福物質が出ていること」と初めに書かれています。すごい!言い切ってしまった!とワクワクしましたが、脳内物質によるのならばどんな人でも幸福になれる保証がある、くらいの勢いを感じました。
脳内物質という、目に見えない少量のものが私たちの幸せを左右しているのはとても興味深いと思います。そしてそれを体系立てて「実用書」として世に出たことは今まで無かったことで、誰もが迷うことなく幸せを目指せる本が世に出たのはとても画期的だと感じました。

 

本書にある幸せの三段重理論を見て、マズローの欲求5段階説みたいだなと思ったら、読み進めてすぐマズローのことが書いてあったのでちょっと面白かったです。どちらのピラミッドも下段を飛び越えて次へ行くことは難しいし、順番を間違うと幸せからは遠のくという点も似ています。
そして樺沢幸福論もマズロー説も、ベースは自分を満たすこと、幸せにすること、大事にすることとなっている点もすごく興味深いと感じました。まずは自分自身を満たす、整えること。
私は昔、心理学の本を読んでいたときに「まずは自分を満たしてあげること」という文を見て疑問でした。自分を満たすとはどういうことか?その本にはその方法は書かれていませんでした。

 

その後「自分を大切にしよう」「自分を満たすと人にも与えられる」といった内容の本がたくさん世に出てきましたし、例えばこんなことをしよう、と書いてある本もありましたが、どれもわかるようなわからないような、ふわっとしたものにしか感じられませんでした。
例えば自分を満たす方法として「ゆっくり入浴してリラックスしよう」「たまには小旅行でもいいから行きたいところに行って、癒されよう」など。
確かにそうしたことは、実践したらその時は「あ〜よかったな」と思うことができます。でも続かないのです。ずっと旅行したり出かけたりするわけにもいかないですし。私の場合は「出かけてよかったけど、私がこれからもやりたいと思うことじゃなかったな」と再確認となったりしました。
幸福はいつでも感じていたいのに、何かをした時だけの限定的なものでは、「なんで生きているんだろうな」という思いは消えないまま生きていくことと変わらないでしょう。

 

マズローの欲求5段階説のベースは「生理的欲求=生命を維持したい」そして樺沢幸福論のベースは「心と身体の健康=セロトニン的幸福」です。
どちらも「まずは自分を満たす」ことだと今ならちゃんとわかります。それは樺沢先生主催のウェブ心理塾で学び、樺沢先生の著書を読んでだんだんわかってくるようになりました。ふわっとした「自分が喜ぶことをする」「自分がやりたいことをする」ではなく、何をどうすればいいのかが明確で複雑さがなく、誰がやっても結果が出る。誰がやっても、というのは樺沢先生がもう一つ主催している「樺沢塾」の塾生の方々が、実践して結果を出している事例が本書にたくさん掲載されていて、とても説得力があります。

 

健康で元気であることが幸福のベースだと聞いて「それはそうだ」と当然に思う人がほとんどかもしれませんが、これがちゃんと実践されてるかというと多くの人は当てはまらないでしょう。
いつも体のどこかが痛い、だるい、眠い。だから気分が冴えない。病院で検査をしても病気と診断されずよく休むように言われて終わり。でもしっかり休んで疲れを取る人、休み方を知ってる人はどのくらいいるのでしょうか。きっとほとんど分かってない人が多いと思います。
こうした状態を「未病」といい、対処すれば健康を取り戻せるのですが、放置していると「病気」の状態へと移り、治すことに時間とお金と体力といったエネルギーをとても必要とします。


未病の段階で食い止め、心身の健康を常に保つように働きかけること。これが人にとっての幸福のベースになるのです。その具体的なやり方が「3つの幸福」の本の中にはたくさん書かれているので、たくさんの人に読んでもらい、実践してほしいと思います。
こんなに科学的裏付けのあるやり方がたくさんあるのですから、あとはやるかやらないか、選ぶだけです。これを選ぶということは、幸せを選ぶかどうか、と同じだと私は思います。

 

3つの幸福の3段ピラミッドは、ベースから上に向かって「セロトニン的幸福(心と体の健康や安定)」「オキシトシン的幸福(愛情、繋がり)」「ドーパミン的幸福(興奮、社会的成功)」となっています。
面白いのが、ドーパミンの取り扱いの難しさです。ドーパミンだけが幸福物質なのに、取り扱いを間違うと依存症になり、セロトニン的幸福もオキシトシン幸福も壊れるとのことで、不幸との表裏一体なのです。本書ではドーパミン的幸福の取り扱い方もたくさん書かれてますが、取り扱い方がまとまって書かれた本も今までなかったのではと思います。

 

もちろん、ドーパミンが不足していれば「達成感を得る」「物を得る」「自己成長をしていく」といったドーパミン的幸福が難しくなります。適切なドーパミンとの付き合い方のいくつかの中で私が気がついたのは、「お金や物に感謝する」ところです。
感謝は「それがあるというのは、ありがたいこと」だと意識して見つけ出すと、自分が思うよりたくさん見つけることができます。オキシトシン的幸福は、つながり、スキンシップ、親切、感謝といったことで成り立ってます。


オキシトシン的幸福の項目では「感謝ワーク&感謝日記」がありますが、感謝に感じることは1日を振り返ってどんなことがあったかなと探し出すと案外たくさん見つかります。
ドーパミン的幸福も、セロトニンベースをしっかりさせたうえ、オキシトシン的手法がないと成り立たない。そんなふうに感じました。

 

そして本書で衝撃だったのが「今こそ、「幸福」の話をしよう」62ページのところです。
バブル崩壊ドーパミン的幸福のみを追求する虚しさ、東日本大震災オキシトシン的幸福の尊さ、そして近年のコロナ禍でセロトニン的幸福のかけがえなさ、が日本人全体に染み渡ったのではないでしょうか。
私の事例で言うならば、バブル崩壊時は学生で、バブルにあまりピンと来ないながらも就職は売り手市場ギリギリ、東日本大震災の時は海外在住で日本に対して何もできず、1年ほど帰国できない状態、コロナ禍では臨床でクラスターの体験をしました。
私自身の体験でいえば、徐々に「自分ゴト」として身近に迫り「幸福とは何か?」をくっきりと突きつけられたような感じです。
もう真剣に誰もが「幸せとは何か?」をはっきりさせる時代になったのではないでしょうか。
幸せになりたいんだったらまずこれやっておけ!「睡眠、運動、朝散歩」、というのが日本人の合言葉になったら面白いですよね。

 

自分の話を少しすると、私は病院で看護師をしていて、寝たきり患者さんのお世話をしています。
基本的に患者さんのほとんどが自力で寝返りも打てず、会話も発語もできず、何一つ自分でできないまま過ごしています。認知症の人もたくさんいます。
人生100年時代と言いますが、私にはそれが実感できていません。人が何かしらの介護を必要とする期間は、亡くなる前の約10年くらいだと言われています。その介護期間というのは全部が寝たきり状態のこともあれば、ちょっとした手助けが必要なものも一緒になっているので、誰もが10年寝たきりというわけではありません。
でも、せっかく寿命が延びたのに人生の最後が長年寝たきり状態では幸福と言えるのでしょうか。

 

寝たきり患者さんから、私たちは何を学ぶことができるでしょうか。何一つ自力でできずにいる患者さんですが、動けている私たちに強烈なメッセージを与えてくれています。でも病院の中なので、なかなか外にいる人たちにメッセージが届きません。
私は寝たきり患者さんが悪い生活習慣をしてきたからこうなった、と言いたいのではないし、思っていません。欧米のように「80歳以上は治療しない」「60歳以上は集中治療室を使わない」といったドライな価値観も全部は受け入れ難いですし、それぞれの国の価値観が違います。
しかし仕事柄、「幸せってなんだろう」「健康ってなんだろう」と思わずにはいられません。

 

そして私は自分の仕事と樺沢先生の本から、まずは心身の健康からのスタートが幸福には必須、と確信しました。
病気になったら日本は誰もが気軽に病院にかかり、治療を受けられます。それはメリットもありますが、「病気になったって大丈夫」「治してもらえばいいや」という人が多いのも事実です。
健康保険でカバーしているものは、最低限の治療が多いのです。国は予防にはお金を出しません。なので予防医療に関するものは自費診療のものが多く、高額なのです。
ではどうしていけばいいのか?それは病気にかからないよう、最大限の手をかけること。それはお金をたくさんかけなくても今すぐできる小さなことがいっぱい「3つの幸福」に書かれています。
予防というギフトを、自分自身にたくさん渡し続けて欲しい。そして私自身も、寝たきり患者さんから頂いた学びを世の中に発信していこうと決めています。なかなか日々流されてできていませんが、必ずやり遂げることの1つと決めています。
ここまで書いて、感想文の冒頭では「これがしたい!と強く思うものが特にない」と書いてあって矛盾しているなぁと気が付きました。私に今足りないものはドーパミンなのかもしれませんね。

 

以上です!

たくさんの人に読んでもらいたい珠玉の1冊ですよ!

父滅の刃、まだ読了せず!

こんにちはー。
急に暑くなるし、ブログは開いてしまうしで(謎)


でもまあ夏らしいですね。(←ブログ関係ない…)

 


8/1樺沢紫苑さん著「父滅の刃」出版!翌2日には出版記念講演会があり行ってきました!
ほんっと、聞き入ってしまったですわ…


父滅の刃の前身本としては、「父親はどこへ消えたか:映画で語る現代心理分析」という、樺沢先生が2012年に出版された本があります。

 

今は残念ながら絶版となっておりますが、こちらの本に現代の様々な状況や映画についての考察を加筆し、424ページというすごいボリュームの書籍として生まれ変わりました。

 

これまで樺沢先生の出版本というのは、読書術や時間術といったビジネス本でしたが、父滅の刃は精神科医としてこれまでに経験してきた臨床や心理学といった方面の話となっており、父性について語り尽くしているという、すごく惹かれる内容なのです。

 

映画大好きな樺沢先生が、たくさんの映画から父性について語り、紐解いていく。

そして現代人のメンタルに切り込んで魂を揺さぶり動かす仇身の1冊!

 

今までの世の中の閉塞感にぼんやりとして彷徨っている多くの人達に、バランスを取って幸せに生きていけ!と、喝を入れていくような、そういう感じの本でございます。

 

あと、映画が好きな人には、たとえもう観たことがある映画でも、今後出てくる映画を観る時でも、新たな視点や様々な視点で映画を何度も楽しめる、そういう本ではないかと思いますよ。

 

私は映画好きとまではいかない人種ですが、本を読んでてまたこの映画観に行きたい!と思って楽しめました♬

 

がしかし。


父性に関する話にはブロックがあったのかなんなのか、以前は「父親はどこへ消えたか」を購入したものの、全然読めていなかったのです。なので、父滅の刃も読めるかしら…とひっそり危惧していました(笑)


でも読み始められたのですよ!成長したのかな私(笑)なんせ「父親はどこへ消えたか」は、表紙すらめくれなかった。

 


がしかし。(2回目)


読み始めてしばらくして、本が紛失したのです。家の中で。


どこ行っちゃったんだろう…数日見当たらず。た、確かにうちは散らかってるけど(汗)でも卓上に置いて読んでいたのに!


そしたら昨日、寝室の片隅で見つかったんです。
寝る前に読もうと思って動かしたのかな。全然記憶ないけど。


読み終わるまでに時間かかりそうだわな…
でも読んで感想文ここにアップするぜ!


(先日のストレスフリー超大全は、挫折してしまった…)

 


ではまたー。